浜岡原発その2

昨日(4/22)、浜岡原発の津波対策を中心に視察調査してきましたので、概要を報告します。残念ながら写真撮影はできませんでした。

今回の福島第一原発の津波想定高は5.5m。そこに14-5mもの津波が来たわけですからひとたまりもありません。

浜岡原発の想定津波高は8m。見直しが必要なことは間違いありませんが、何mまで対策をすればよいのかはなんとも言えません。

対策の柱は大きく3つ。ひとつは「①津波を避けるための対策」、次に「②津波を受けたあとの対策」、そして「③緊急事態への対策」です。

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①のひとつに「防波壁」があります。

新聞報道では「15m以上」などと書かれていましたが、まだ正式に決まってはいないとのこと。

「防波壁」は「防波堤」ではありません。波打際に15mの堤防を造るわけではなく、高さ10mほどある既存の砂丘の上に、新たに数mの壁を造るものです。

基礎は岩盤に固定するので耐震性は確保できるということですが、「砂丘」そのものが地震に耐えられるのかどうかは、議論の分かれるところです。

②として、施設への浸水を防止する「防水壁」、「水密扉」などの設置があります。

原子炉冷却のために重要な役割を果たす施設に「海水を取り入れるポンプ」があります。浜岡の施設は屋外にありますが、さっそく「防水壁」の設置工事をしていました。壁の高さは海面から6mとのこと。いかがなものか・・・。

次に「発電機」。福島第一ではディーゼル発電機が使えなくなったことが大きなポイントでした。福島第一のディーゼル発電機が「タービン建屋」にあったのに対し、浜岡は「原子炉建屋」にあり、防水性は福島よりは高そうです。さらに水密性の高い扉を設置するとのことで、その点は評価できます。

③も重要です。原発の緊急対策で重要なのは「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」です。

今回の福島第一では、「冷やす」ことができなくなったため大惨事につながりました。「冷やす」には「冷却系施設」の稼動と、そのための「電源確保」が重要です。

建屋内のディーゼル発電機が使えなくなった場合の想定として、原発の後背地、標高20m付近に予備の発電機を設置します。2012年度の早いうちに「ガスタービン発電機」などの設置を考えているとのこと。これは必要な施策です。

また補助電源として、1号機~5号機それぞれに、災害対策用の発電機を設置していました。当面はレンタル品で先々は購入配備するとのこと。先に書いたポンプを回すほどの発電量は確保できませんが、緊急的な電源として確保したものです。さらに電源がなくなったときのために、可搬ポンプで注水を行うとのことで、配備されていました。

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今回の説明は「止める」「冷やす」「閉じ込める」のうち「冷やす」が中心でした。

「止める」はこれまでのところ機能しているようなので引き続きチェックしてもらえればよいと思いますが、「閉じ込める」を想定した訓練はまだのようでした。福島の件を考えれば、万一に備えて「閉じ込める」の訓練もすべきです。

マネジメントの基本は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」です。今回の説明は「モノ」が中心でしたが、その他の対策がわかりませんでした。質問したかったのですが、時間がなくて聞けませんでした。

「モノ」についての感想は下記のとおりです。

「防波壁」は気休めに過ぎないのではないでしょうか。どこまでやっても不安は尽きません。それよりも津波被害を受けた後の対策をキチンととることが重要な気がします。

重要なのは電源と冷却手段の確保です。私には学術的な評価はできませんが、冷却手段の二重三重のさらなる確保が必要と感じました。

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中部電力管内の原発依存度は14%とのこと。現在浜岡の4・5号機しか稼働しておらず、火力発電で需給調整を行っているようでしたが、従来の電力需要からすると原発を止めるのは困難なようです。

「計画停電を甘受すればよい」との声もありますが、今の社会経済活動を考えたときに、中長期的なビジョンが見えません。

ただし原発の新規着工にブレーキがかかることは間違いないでしょうし、将来的には代替クリーンエネルギーの開発は不可欠です。

マスコミでは「次に危ないのは浜岡原発だ」との論調も聞かれます。こうした中、浜岡原発の稼働には、相当慎重な姿勢が求められます。

3号機の再開もそうですし、1・2号機の使用済み燃料棒処理も安易にはできません。

職員は自信を持って説明していましたが、これはおそらく「そうしろ」と言われているんでしょうね。自信の中にも、謙虚さをもって、真摯に取り組んでいただきたいと思います。


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